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ユーコン(YUKON)川 160Kmツアー-その1 (はじめに) 

 原生林を流れるカナダの「ユーコン川の最も美しい部分160Kmを1週間かけてキャンプしながらカヌーを漕いで下る旅」を70歳の記念イベントとして計画した。
 YUKONはカヌーイストのメッカとも目され、多くのツアーが募集されている。その中で最もプライベートツアーに近い小型のツアーに応募し、結局、後に鹿野の友人2人が加わり4名の客、ガイドを含めて総員6名(カヌー3艇)の小編成のツアーとなった。また、ガイド櫛田氏は信頼でき、意思の疏通が容易なので何事も依頼出来る方である。
  ツアー主宰とガイド : KLONDIKE CANOEING RENTALS 社 (櫛田篤司氏) 
     http://www.klondikecanoe.yk.ca/J_guided_trips.htm

  

YUKONは、原生からGold rush時代を経て原生と人類が共生する時代になったといえる。大自然が息づく流域にはGold rush時代の数多くの遺跡(Heritage)が大自然に吸収されるがごとく朽ちるままにされ、しかし一方、それらから歴史を感じさせる範囲で見事に保存されている。世界でも数少ない感動の場といえる。
 そんな中を野生の領域の一部である河畔にキャンプを設営したキャンパー達に、ゴミ処理は当然ながら、焚き火から、糞便の処理に至るまで人の痕跡を残さない配慮を求められ、自然の一員である人間が生きる上での義務を自覚させられるものであった。実際、Yukonには自然のゴミ(流木など)以外に人工物のゴミが一切、どこにも目に付かない。 
 さらに1つのキャンプ地には先着順で1つのグループしか滞在できまい。
 YUKONで感じた世界を、次から何項かに分けて感じたことを記してみたい。

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 YUKON 160Km-その2 (大自然との対話) 
 日本にも人の手が加えられていない自然の世界というものが無いわけではない。しかし、カナダの自然は「大」を付けるに何の躊躇も無い。いや、大自然とはこんなものを指すのだと恐れ入ったともいえる。
 YUKON川はロッキー山脈に源を発し全長3,680Kmという。日本列島は3,500Kmとされるのでほぼ同じ距離であると思った。しかし日本列島は宗谷岬からはるか南方の与那国島までの距離になるので、全長3,680Kmは驚くべき数字である。そしてわれわれの下った160Kmは全長のたった1/20に過ぎないが、最も安全で美しく価値ある川の流れといえる。

 

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原生林で住民が少ないため、道路の必要性は低く、YUKON全長に車の渡れる橋は我々の出発点の上流に2つ、到着点の下流のカナダに1つ、アラスカに1つしかないという。そのため、我々の川下りの全行程で橋を見ることなく、近くに道路が無いため人工の音も聞こえてこない。
 大人数のpartyは時として地下鉄の中のような世間話が流れ、自然との対話をさせてもらえないことがある。 でも今回は風の音、水の音、瀬の音、鳥の声、そして何と耳を澄ますと川底から巻き上げられた細かい砂(シルト)が艇の底に当る音が聞こえるのみで、大自然と対話し、肌で感じることが出来た。

 

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 Yukonを下った記録だけが目的の人もいるだろう。人間同士の交流の場のひとつとして考えている人もいるだろう。
 一方、大自然との対話を求めてYukonに来た人もいる。
 水の上では個々人が自由に自然と対話できるように沈黙を守り、一転してキャンプの焚き火を囲む時は、それぞれが素敵な話題を出して人間同士の交流に花を咲かす・・・・、この二つを明確に区別して、雰囲気を守れるのが小partyの良さである。 もし、前者が無ければYUKONに来る理由は(私には)無いし、後者ではいい話題で会話を盛り上げる力のある人が居れば最高である。
 それが実感できたpartyであった。    感謝!

 地域と遺蹟は先住民(ファーストネイション)の団体(タァンクァチィン)によって保護され、環境保護を訴える看板が英語、仏語、独語、そして日本語で書かれている。
 しかし遺蹟に落書きされた名前は日本人がほとんどで、ユーコンで有名なN氏の名前は1つではない。彼は何度も来た事を示したいらしい性格と聞く。
 さらに酒の空き瓶の中で1本だけ文字が書かれ、それは「北大カヌー部2007年8月29日」と大書されたウイスキー瓶である。最近は北大生でも看板の日本語が読めないようだ。
 

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YUKON川をカヌーで下る160km-その3 (いろいろ)

 ガイド(櫛田氏)付で食事付ツアーのため、食事は全て彼の奥さんが準備したものを彼が整えて出してくれる。そこで我々に調理の苦労が無かったのは、初めての地でのキャンプツアーとしてありがたかった。何故か太った人もいたとか。

 目的地(リトルサーモン)で上陸し、櫛田氏の奥さんが転送した車でタッキーニーホットスプリングに行き、キャンプする。ここは露天風呂(温水プール)があり、一方は35℃前後、もう一方は40℃余。 私は特に温泉好きではないが、今回に限り、温泉最高!と叫んだ。

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YUKON川をカヌーで下る160km-その3 (いろいろ)


 
 バンクーバーで国内線乗り継ぎに半日の余裕があり、ヨットのセーリングを楽しむ機会があった。ヨットセーリング講習を募集している人の日本人向け情宣らしい。ラッキー!

 バンクーバー空港での乗り継ぎ時にチョットばかりハシャイでしまった。歳を考えろ!

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YUKON川カヌーで下る160km -4 ( 話題 )

 期待があってこそ旅立つものであるから、期待が裏切られることは仕方ない。また、勝手な思い込みは当然現実に直面する。

話題-その1 :「川ではいつでも青空を見ながら立ちションが出来たし、クソは川の中で小魚に尻をつつかれながらする」(野田知佑著「ゆらゆらとユーコン」13p)ということだったが、Yukon川の水は15~18℃位で入るには覚悟がいる。
 大体、自然保護のために、また食品、洗剤など匂い物はテントから遠ざけねばならないので、トイレも出来る限り林の奥に入って穴を掘り排泄してから埋め戻す。使った紙は持ち帰って焚き火に投げ込む等の処分をすることになっている。フカフカの苔のため、穴掘りは意外に簡単であるが。 
話題・その2 :オーロラは輝くカーテンのようなものと思い込んでいた。もちろん、白夜では見られず、普通は9月以降だか、ある夜オーロラが現れた。しかしJの形の太目の灰色雲としか見えない。Yukonでは地軸の北極と磁極の北極のズレの関係で最盛期でもオーロラの7~8割がこんなものだそうだ。何か化粧美人のスッピンに会ってしまったような気がした。
話題・その3 :バンクーバー(北緯50度)から北に飛行機で2時間のWhitehorse(北緯61度)が出発地である。最高気温が22~30℃に対して、最低気温が数℃にまで下がり、寒さで目を覚ます気温差である。稚内ですら北緯45度強が分かっていても猛暑の東京では想像も出来なかった。朝の日課が焚き火に始まり、夕食(夜の8~10時)後は焚き火が欠かせない。救ってくれたのは寝袋を暖めた「携帯かいろ」だった。

 

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話題・その4 :グリズリーやムースとの対面。Tシャツの熊の絵に「Send more Tourists. The Last Ones Were Delicious!!」とあり、多くのパンフレットで熊への警戒を呼びかけている。しかし「熊のような大型の獣を撃つには高いライセンス料を払い、ガイドを雇って1万ドル以上の出費を強いられる」(野田知佑著「ゆらゆらとユーコン」189p)そうだから、実際のところ一般の旅行者がツアー中に熊等の狩猟対象の動物に遭遇する機会は確率的に極めて低い(ムースのメスは禁漁だが)。我々が川下り中にビーバーが川を泳いで横断している姿を見、地リスが足元を駆け抜け、熊やムースの痕跡(足跡や糞)を見つけ、カワガラスなどの野鳥の声を聴くだけでも充分である。

 

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 さらにキャンプ予定地の樹木に熊の爪痕(マーキング)から新鮮な樹脂が出ていて、樹皮にグリズリーの毛が付いていたので、緊張するガイドの顔、周囲の痕跡探索、素人推測、議論風発、そしてキャンプ予定地の変更だけで充分刺激的な演出の舞台効果は満点であった。

 

話題・その5: キャンプ中、対岸の森林から煙が上がり、山火事を発見!
 でも、「都会の人は山火事のことを騒ぐけれど、山火事はありがたい。唐檜の林が焼けて新しい木が生えると、それを食べてムースが増え、住み着くから・・」(野田著「ユーコン漂流」120p) そうか。人為的に火を付けて動物の増殖を計ることもあるのか。
話題・その6: 出入国管理は厳しい。北米は対テロの厳戒体制で厳しい出入国管理を想像していた。しかしバンクーバーでは国内線から国際線の搭乗口に直結し、パスポートにはカナダ出国印が無い。入国は厳しいが出国はご自由にということらしい。
話題・その7キャンプに懐中電灯は必需品。夏至では白夜の最盛期で日が沈まない。8月上旬は真夜中でも日没直後の明るさで満天の星空はない。7倍長寿命の乾電池を持っていったが、懐中電灯そのものが不用であった。
話題・その8健康器具。足腰が痛むことは無い。しかし、今回は長時間の飛行と、カヌー漕ぎのため腰用ベルトを買っていった。「こんなものは役に立つのか」と思っていたが、今は本当に良いものと思う。
話題9: 私は焚書は嫌いだ。しかし「ユーコンでは読んだ日本語の本は燃料にする」という伝説に従って、全てのユーコン関係の本は焚き火の種火として消えてしまった。ノンフィクションは実はフィクシヨン。 「飾り気の無い文」とは中学生の作文程度の表現力。 一見は百聞にしかず! 自分で体験したものだけが真実で、ノンフィクション。
話題10: ある夜、歌集が配られた。高齢になると歌う声が出ずに音痴気味だから迷惑千万。ところが何と私の小学生頃から大学生の時代によく聞いた歌である。皆さんの歌を聞いているとそれぞれの歌に関わる思い出があふれ出て感慨に耽ってしまった。

 今、再度同じコースでも下りたいと思う何かがYukonにある。